富山の水

今回は最終日の発表でした．

まずは荷物をまとめて勝江旅館からのチェックアウトを．

おばちゃんがどこにいるのか分からないので

大きな声で声をかけるとどこからともなく

今行きますからねと返事がしました．

支払いを済ませ出かけようとすると

よく泊まってくれたからと勝江旅館のタオルをくださり

更に冷たい水でもどうですかと勧められたので

貰い始めたら次から次へと出てきそうな気がして遠慮すると

いやいや水だから，冷たい水どうぞとなかなか引き下がってくれません．

それでも遠慮していると

それじゃあぬるい水あげよう

と足元に置いてあったぬるいペットボトルの水をくださいました笑

その後しばし談笑していると

このおばちゃん，えぬ・てぇ・てぇだとなめてかかっていたら

なかなかの切れ者で

アベノミクスはポンコツ車みたいなもんで

ちょっと進んだかと思ったらすぐ止まる

とか

今世の中はジェットコースターみたいだから

これからは昔みたいに皆で一緒の方向見て生きるんではなく

自分の意見をちゃんと持って先のことを考えんといけんみたいだ

とか

味わい深いお言葉がどんどん出てきます．

空襲で焼け野原になった富山から

ずっと旅館をやってきただけのことはあります．

朝からかなりの刺激をいただき

いざ発表会場へ．


音響学会で口頭発表をするのは二回目で

一回目の時はかなり緊張してぼろぼろだったので

今度こそはと臨みましたが

今回は前回に比べ随分落ち着いて出来ました．

何事も経験ですねぇ．


発表を無事終え帰りの電車で

MITメディアラボ所長の伊藤穣一さんが監修された

「ネットで進化する人類」を読んでいると

伊藤さんの文章の中に

これから新しいテクノロジーと現実の狭間で

様々な価値観や倫理観，宗教観や哲学を読み解く必要がある．

それらが進化の過程で淘汰されていく中で何が正しいか分からないから

　　「自分にとって違和感のない哲学をもって生きていくのは，
　　　困難ではあるがおそらく最も自然なことであろう．」

と述べておられました．

これって勝江旅館のおばちゃんの言ってた事と一緒だなと

富山のおばちゃんとMITメディアラボの所長の奇妙な一致に

興奮しながら帰宅いたしました．